2015年11月24日火曜日

キューバの家庭医 いわきで診療体験 ~家庭医療セミナーinいわき 実践家庭医塾~


2015年11月24日~25日にわたり、キューバの家庭医Niurka Taureaux Diaz先生(ハバナ医科大学准教授 家庭医療学講座主任)が、かしま病院を訪問してくださっています。
とてもフレンドリーに日本に馴染んで、クリニックかしまの診察室で模擬診察体験!

こんな開放的な雰囲気の中、今宵は実践家庭医塾です。


まず、今月いわきで地域医療を学んでいる臨床研修医からのプレゼン
時間の関係で、いつもよりもショートバージョンとなったが、ちゃんと学ぶべきことを学んでくれていたことを確認できてひと安心!


そして、本日のメインイベント
Niurka先生によるキューバのヘルスケアシステムについてのプレゼン。

社会資源としての医療者たちがどのように活動すれば、より質の高い医療システムが構築されるのか?
興味深くお話をうかがった。
医師の公的な義務年限は2年とのことで、時に外国での勤務も許されているし、中南米の各国でキューバの医師が活躍している。
割と自由に活動している様子だが、それでもなぜ成り立つのか?
国家予算における医療への優先度を高め、徹底して費用対効果を追究した管理が、いまのキューバのヘルスケアシステムを支えている。
コンサルトリオ、ポリクリニコ...地域の中で完結する医療。
キューバのヘルスケアシステムの1st.レベル(プライマリ・ケア)を支える家庭医の存在はやはり重要のようだ!

2015年11月15日日曜日

ヘルスプロモーションとは? ~第107回 FaMReF @ 福島~


錦秋の福島、小雨の中始まりました。

まずは研修医らの振り返り

学会の翻訳プロジェクトを通して歴史的なことから紐解くことで、既存の教科書以上に深い学びをしているとのこと!
翻訳は大変だけれど、楽しんでいる様子で なにより なにより...
医学の基盤や理論は、いつの時代も社会的背景に影響を受けてきた。
しかし、どんな時代でも普遍的に重要な心理・社会的アプローチは忘れてはいけないということを、丁寧に読み進めながらじっくりと噛み締めている様子だ。

小児科研修を通して思うこと...
家庭医を志す研修医のニーズにしっかり対応してもらえている様子
そして、一本 Generalist Way がしっかりと通っている小児科の先生方への敬意
子供を支える家族のパワー
生きる力...
多くの新鮮な経験ができているようだ

働き盛りでリスクがあり、生活習慣における行動変容が必要だけれど定期通院が難しいような方をどのようにフォローしていくか?
マンパワーが不足した地域ですべての方に医師が直接介入するのはなかなか難しそうだ。
産業医や保健師、家庭医らが協力し合って効率よく介入していく必要がある。
地域全体を見渡して、地域に必要なことが何なのか?を把握したり、そういった視点を持った医師がいるということを、行政の方に知ってもらうことから始まる化学反応も面白い!

こういった、前ふりからの~

本日の専攻医によるメインのプレゼンのテーマは「ヘルスプロモーション」
ヘルスプロモーションとは、人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善することができるようにするプロセス!
つまり、健康に関して興味・関心をもってもらい、実際に行動にうつしてもらうコミュニケーションである。
これまでのヘルスプロモーションに対する漠然としたイメージは、おかみが政策としてトップダウンで決めるものという感じだったが、実はその政策は我々の日々の活動から生まれるアイディアやニーズを活かして双方向的に決めていくべきであるということに気づくことができたようで、それがとても良かった。

2015年11月8日日曜日

第25回 福島アドバンスド・コース FACE(Fukushima Advanced Course by Experts)


いわき志塾で、いわきの中学生からエネルギーをもらったあとは、磐梯熱海に移動してFACEに合流し、ダメ押しに医学生・研修医・講師陣の熱いエネルギーを浴びてみよう!


到着すると、秋のFACE 定番プログラムになっている徳田安春先生によるフィジカルのレクチャーが佳境を迎えていた。


終わらない夜のFACE。
エンドレスでガッツリ学んでもいいし、ワイワイ呑みながら語ってもいい自由度の高い空間。


熱い学びが続く中、日付が変わってしばらくしてから寝落ちしたらしい。
ふと気づくと、午前6時すぎ!
マジか?
最後の講義がまだ続いていた…
徹夜の勉強が恒例のFACEとはいえ、記録的な長さかも

小雨の中、気分転換に温泉街を朝ランし、朝風呂を浴びて2日目へ


2日目の午前は成田雅先生による「手の診察」「福島の秋といえば『つつが虫病』」の豪華2本立て講義


午後は会津医療センターの宗像源之先生「腹痛診療の基本」


今回も、FACE講師陣の医学教育への噴出し続ける情熱と、それに牽引されて頑張る若者たちに触れることができた。
いわきに持ち帰ってまた頑張ろう!

2015年11月7日土曜日

出会いを大切に! ~いわきグローバルアカデミー「いわき志塾」~


震災のあった2011年度から公益財団法人 東日本大震災復興支援財団の「福島こども力プロジェクト」の支援を受けて立ち上げられたいわき生徒会長サミット
もともと「30年後のいわきのリーダーを育てよう!」ということで始まった企画だったが、震災直後に大多数の子供たちが一時いわきを離れたという現実に直面した時、いわき市教育委員会の先生方は「これでは未来のいわきはない」と危機感を持ち、もっともっと、「いわきじゃなくちゃダメなんだ!」と、いわきを熱く愛する若者を育てていかなければならないと痛感し、ますます熱意をもってこのプロジェクトを推進しているそうだ。
4期目に突入した2014年度から、生徒会役員でなくとも、志さえあれば参加は自由となり、いわきグローバルアカデミー「いわき志塾」と命名された。
各界で働く大人を講師に招いて、小グループ9班に分かれて、計9名の講師のうち、2名の生き様についてレクチャーを受け、次のセッションでは、インプットされた情報から得た個々の考えを、医療人2名の共通点などを考慮しながらグループ内でアウトプット。
最後のセッションでは、各グループが参加者全員に向けてプレゼンするという構造。

昨年度は講師として中学生達と絡ませてもらい、とても楽しかったのだが、この塾の講師の仕事はわたくしのような老体ではなくて、もっと若い人間に振った方がより面白い展開になる気がして、今年度は講師として家庭医療専攻医2名と看護師を紹介し、今回は高見の見物をさせてもらった。
なんて言っておきながら、結局は自分でやるよりずっと落ち着かずに逆にソワソワしてしまったが…

なにより嬉しかったことは、昨年に引き続き、参加者の中にキッズ医者の修了生を発見できたこと!
小学生から中学生になっても僕らの想いが子供の心に何かを残しているのだろうか?
やはり「継続は力なり!」である。



他の講師の先生方のレクチャーも聴講させていただき、同じ医療人でも全く違う視点を持ち、違う仕事をしていて、医療という分野ひとつ取ってみても、例えば医師という仕事に限定しても、無数の歯車が噛み合ってはじめて動くことができるということを再認識。



講師陣のレクチャーを真剣に聴いていた各班の中学生たち。
ややおとなしめの印象であったが、その後のワークでは活発に意見交換しながら受けたった情報を咀嚼してアウトプットしていく…
そして、様々な意見をリーダーが巧みにまとめる。
昨年度も感じたことだが、日頃 時間ばかり奪われながら、ちっとも役に立たない大人の会議を数多く目の当たりにしているので、「物事を決める時はこうやればいいのか~」と、あらためて感銘を受けた。

で、中学生たちが医療人からのメッセージをどのように受け取り、何を学んだかというと…

プレゼンから浮かび上がってきた彼らが医療人から受け取った共通のキーワードとして

「出会いを大切に!」

自分の人生を自分で選択することを助けてくれた人との出会い
国際交流での出会い
患者さんとの出会い
挫折に手を差し伸べてくれる人との出会い
地域の人たちとの出会い
仲間との出会い
人生を楽しめる仕事との出会い

子供たちからの力強いメッセージ。
自身も様々な出会い、今日の出会いに感謝しながら、もうひと踏ん張りしてみよう!

いわきの明るい未来を予感するいい時間となった。